「恵まれている」という呪い

 私は恵まれた環境で生まれて育った。「あなたは恵まれているわね」と数えきれないほどの他人に言われているので、そうだろうと思う。親にも言われてきた。だがその言葉に全ての反抗を封じられてきた。言われるたびに息苦しかった。

 恵まれているからこそ羨まれ、結果を期待される。
 結果を出せば「環境に恵まれたからだね」と言われ、
 結果が出せなければ「恵まれた環境にいるのにね」と失望される。

 恵まれない環境にいることは、辛いことだろう。だけれど私は「分かりやすく理解してもらえていいな」と思ってしまう。
 もちろんそんなことは口に出して言えない。「ありがとうございます、結果を出せたのは環境のお陰です」「申し訳ありません、今回は結果が出せませんでしたが次は頑張ります」以外のことは口に出せない。

 それらが今の自分の自己評価の低さと、理解の渇望に繋がっているのだと思う。